76.正体

このブログを読み進めることで、当サイトのプライバシーポリシーに同意したことになります。
詳しくはこちらをご覧ください。

最終更新:2024年10月11日

この記事「76.正体」の内容を補完する画像です。

76.正体

博士は、目の前に置かれたりんごを眺めていた。

手に取り、実際にかじってみると、美味しいりんごの味がした。

A博士は、呟いた。

「ふむふむ、なるほど。確かにりんごだ」

実はそこに有ったのは、りんごではなくみかんだった。

みかんがA博士には、りんごに見える。
見えるだけではなく、手触りも、味も含んだ五感全てがりんごなのだ。

A博士は、言った。
「成功だ」

A博士は、五感全てを変換できる装置の開発に成功し、喜びもひとしおだった。

とはいっても、これはまだ序の口だった。

A博士の本当の目的は、透明人間になることだった。

そしてそれは、その装置を使うと、いとも簡単に成功した。

A博士は言った。

「おお!これで、誰にも見られず、触れず、匂いもせず、聞こえず、気配を感じられることもない。まさに透明人間だ」

実際には、A博士はそこにいた。
それにも関わらず、誰にも確認することができない。

それはまさに、これまでになかった画期的な発明といえた。

A博士によると、原理自体は簡単だったらしい。
五感の感覚を変換するだけで可能だということだった。

A博士は言った。

「さて、これを実用化して、世に出すとするか」

その声は、誰にも聞こえなかった。

するとその後、問題が起きた。

A博士「あれ?」

元に戻る機能が、働かないのだ。

しかも、透明化する機能も使えなくなっていた。

「さっきまでは、正常に動いていたのに、なぜだ?」

A博士は、さほど慌てることなく「まぁ、いいか」と、装置の修理に取り掛かった。

けれども、一向に直る様子はなかった。

「困ったものだ」A博士は、文字を使い助手にメッセージを送り、共同であたったが、それでも直らなかった。

A博士は言った。

「このままでも生活できないことはないが、何かと不便だな」

A博士の呑気な考えは、次の瞬間消え去ることになった。

部屋に屈強な男達が入ってきて「逮捕する」と言われ、拘束されてしまったのだ。

博士は透明の状態を利用して逃げようとした。

しかし相手もそれは予想していたらしく、助手を人質にとられてしまい「ここだろう」という想像で場所を特定され捕まってしまった。

牢獄に投獄されてから聞いた話だと、どこから情報がもれたのか分からないが、透明になって戻れなくなったことが、国にとって危険分子だと認識されたらしい。

機密情報が取られ放題になってしまうからだということだった。

A博士は、透明化が解除される装置が開発されるまで、拘束されることになった。

ところが、その解除装置が開発されることはなかった。

しかも世間ではA博士は事故で死んだことになっていたため、誰との接触も禁じられたまま処刑されることになった。

A博士は、死ぬ瞬間思った。

「このまま、誰にも認識されないまま、人生が終わってしまう。

結局、私とは一体何だろう。

私の正体とは、実際には分からないものだということではないか?」

A博士は、五感のどれかで感じてはじめて存在できることを認識したのだった。

補足

何も感じないものがあるとしたら、どうやって存在を確認できるのだろうか?

目に見えない物質を顕微鏡で眺めてみるにしても、視覚が必要だ。

銀河の大きさを計測できるように、計算と想像力を駆使すれば、確認できるのだろうか?
そうでなければ殆どは「錯覚だった」ということで終わってしまうのだろう..


次は..77.信頼

1.解釈



当サイトは、専門知識を持つ著者達が、独自の視点で価値ある情報と体験を提供しています。再訪問とブックマークをぜひお願いします。

他の興味深い記事もご覧ください。
お悩みがある方は、無料相談サービスもぜひご利用ください!

お時間の許す限り、さまざまなテーマをお楽しみいただけます。
カテゴリーメニュー一覧はこちら
「編集者のおすすめ」→「ユニークな視点からの短編小説:私は水虫」
※当ブログで取り扱う短編小説の物語はフィクションです。実在の人物、団体、事件などとは一切関係ありません。
トップページはこちら


あなたのサポートがBlogXを支えます

このブログ「Blogx」は、次世代テクノロジーや環境問題を中心に、未来に向けた情報や考察を提供しています。私たちの目的は、世界中の人々に役立つ知識を共有し、より良い未来のために行動するためのきっかけを提供することです。

寄付していただいた資金は、さらなるコンテンツの充実、リサーチ費用、そしてブログの運営費用に充てられます。あなたの支援が、より価値のある記事の提供に繋がります。
詳細はこちら

ぜひ、私たちの活動をサポートしていただけると幸いです!

  • ✔ ブログを応援する
  • ✔ あなたの寄付が、より豊かな未来のためのコンテンツを支えます
  • ✔ 今すぐサポートはこちら → https://paypal.me/blogx2030

読者の皆様へ

この記事をご覧いただき、ありがとうございます!この記事に関する間違いなどのご意見、ご不明点などのご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせフォームは、こちらにございます。

最新記事をお見逃しなく!

ぜひブックマークを

再訪問をお待ちしております

モバイルバージョンを終了