35.責任転嫁
A子は、責任転嫁をする達人だった。
何かが上手くいくと自分の努力の結果だとし、失敗や悪いことが起きた時は全て他の人のせいにして生きてきた。
この理由で、出来るだけ自分で決めず専門家に相談し頼むことが多くなった。
そうすれば気が楽になったからだ。
そしてそれは上手くいっていたため、A子は人生を楽しむことができた。
そんなある日の事、A子は自分が憎い相手のことを、どう処理すればいいか専門家に聞くことにした。
その専門家は「事故に見せかけて殺すことが吉と出ています」とアドバイスした。
A子は、気がついた。
「もしこのアドバイスを実行してしまったら、相手のせいに出来ない。私が罪に問われてしまうわ」
「そういえば、これまで頭にきた時、相手のせいにしてたけど、私は感情を握られていたのかしら?」
責任転嫁をすると、相手次第で自分の行動が変わってしまうと気づいたA子は怖くなり、それまでの考えを改め、考えを逆にしてみることにした。
「上手くいった時は、アドバイスをくれた人のお陰だと思い、悪い事が起きた時は、自分の責任だとしよう」
そうはいっても、なかなか考えを百八十度変えるのは、簡単ではなかった。
やがてA子は、考えを改めるチャンスを得ることができた。
するとA子は責任転嫁をせず、感謝を捧げて生きていけるようになっていた。
「○○様のお陰です。責任は全て私にあります」
A子は、ある教団の熱心な信者になったのだった。
補足
責任転換は可能なのか?それとも、責任は全て自分にあるのか?
誰かのせいにして責任を追わせるなら、その相手は神とする覚悟を決めるべきだ。
なぜなら、全てを握られてしまうから。
だからといって、自分自身を全面的に信頼するべきではない。
従うべきものを、偏って決めるべきではない。
責任が自分にあるからこそ、従うべき対象は、慎重に決めるべきなのだろう..
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