39.言葉
A子は、言葉で誤解を招くことが多かった。
ある日の事、友人のB子が新車を購入した。
車の運転が苦手なので、誘導して欲しいと頼まれた時もそうだった。
B子が窓を開け「いい?」と聞くと、A子は「いいよ~」とB子の車を誘導した。
そしてB子は、安心して更に車をバックした。
B子が再び「いい?」と聞くと、A子は「いいよ!」と言った。
B子は誘導の声に従い、更にバックを続けた。
すると、A子の語気は強くなり「いいよ!いいよ!いいって言ってるでしょ!」といった。
その瞬間、B子の車は「ドカンッ!」という音を立てた。
B子は怒って言った。「いいっていったじゃない!」
A子も同じタイミングで言った。「いいっていったじゃない!」
B子は、呆れた口調で言った。「それって、もういいって意味だったの?」
A子の言葉の誤解はこれだけでなかった。
男性に誘われた時にも、断っているのにOKだと勘違いされてしまう。
それだけではない。
身体の関係になった時でさえ強く拒否すればするほど、相手は興奮して激しくなるのだった。
こんな事が起きた時、A子はいつも思った。
「言葉って、難しい。一体何を間違っていたのだろう?」
補足
コミュニケーションは、ニュアンスで伝達されていることが多い。故に、伝達手段が言葉だけの場合、特に気をつける必要があるといえるだろう。
言葉そのものだけを受け取ると、勘違い起こることが多いといえるからだ。
ともすれば、説明すればするほど、勘違いが膨らんでいく可能性すらある。
短い言葉だけでやり取りするSNSは誤解の宝庫なのだろうか?
心の中が読めるテレパシー能力があれば別だ。とはいえ、かえって揉め事が多くなるかもしれないが..
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