最終更新:2024年10月11日
48.言葉2
「私は私です」
ロボットAは、そう言った。
そう聞いたA子は納得した。
「もちろんそうよね。あなたはあなただわ。それ以外の何者でもないもの」
ロボットAは答えた。
「それは意味が違います。
私というものは私の中に存在しません。
私という言葉は、あなた達の言葉をお借りして表現したに過ぎません」
それを聞いたA子は言った。
「確かにあなたの中に、私という概念はないのかもしれない。
でも言葉の表現としてはそれで合っていると思うわ」
ロボットAは言った。
「正解か?不正解か?ということであれば、この表現は存在しないものを現しているので、不正解だということになります」
A子は言った。
「それじゃ堅苦しくなるし、ややこしくなるから。それでいいんじゃない。
ニュアンスが伝われればいいんだから。
普段の会話で使ってしる言葉は、何となく伝わればそれでいいと思うわ」
ロボットA
「それもそうですね。それではこれより、ニュアンスの学習を開始します」
補足
言葉の意味とは、前後の文脈や状況そのもの、そして文化によっても違ってくる。
とはいえ、言葉は本来の目的が達成できれば意味を成すといえるだろう。
本来の目的とは、その状況次第で違ってくる。
曖昧で伝われば済む場合もあるし、厳密に注意して使用しなければならない時もあるといえるだろう。
ロボットのように本来存在しないものだとしても、相手の解釈により意図が伝われば、言葉は用を足すといえるのかもしれない。相手次第で誤解も増えるかもしれないが..
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