最終更新:2024年10月11日
23.無意識
Aは、一風変わっていた。
生活の殆ど全てを、無意識で行動していたからだ。
「何かに反応し、行動を起こす」この繰り返しだった。
例えば「食事の後に歯磨きをする」といった具合だ。
会話でさえもそうだった。
「あ~言われれば、こう言う」というものである。
パターンの数が多いので、無意識で話しているとは誰も気づかなかった。
Aは更に、考え自体も無意識で行っていた。
ただその時には、時間差がある場合もあった。
そのため行動と違い、関連性がない時でもふと考えが頭に浮かんでくることはあった。
Aはそれすらも無意識で行っていた。
新しい考えや行動も、ふと思い浮かべるままに任せていた。
もちろん試験勉強も無意識で行っていたというのは、言うまでもない。
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ある時、ふとAの頭に浮かんで来たのは「俺は、無意識で考えているんだな」ということだった。そんなことも無意識に考えていたのだった。
そして、使命を終えたAは回収された。
研究の成果を検証した実験は、大成功に終わった。
結局のところ、Aがロボットだという事に誰も気づかなかったのだから。
補足
思考が意識だと仮定すれば、思考とは確認に過ぎないのかもしれない。
その確認さえも反応パターンの一種だとしたら、人間とロボットの境目が薄くなるのだろうか..
次は..24.感覚と言葉
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