73.存在
73.存在 博士は、遂に不老不死の薬を完成した。 それは酸素と混ぜ合わせ、吸い込むだけという手軽さだった。 最初の治験として、密かに応募していたA子が試されることになった。 A子がそれを吸い込むと、あっという間に不老不死 […]
73.存在 博士は、遂に不老不死の薬を完成した。 それは酸素と混ぜ合わせ、吸い込むだけという手軽さだった。 最初の治験として、密かに応募していたA子が試されることになった。 A子がそれを吸い込むと、あっという間に不老不死 […]
72.真偽 A男は狡猾だった。 ずる賢さにかけては、右に出る者はいないだろうと自負していた。 この自信から、A男は自分以外の者は腹の中では常に小馬鹿にしていた。 同時に、A男は曖昧さを利用する達人でもあった。 それは法律
71.快楽 Aは、思った。 「せっかくこの世に生まれてきて生きているのだから、楽しまなきゃ損」 このような考えだったため、これまでAはあらゆる楽しみを求めてきた。 オペラや美術館、シェイクスピアからベートーヴェンなど高尚
70.無限 A男は、選択の重荷に耐えきれず、ある真実から目をそらしてきた。 そして、全てに虚しさを感じていた。 その真実とは何か? 「生まれ変わりはある」という真実だった。 通常、死んだ瞬間、全て忘れてしまうものだ。 A
69.選択2 悪魔はA子に呟いた。 「さぁ、どちらか選べ」 A子は、その選択肢に戸惑いを隠せなかった。 目の前には、三つのボタンがある。 その内の一つを選び、二十四時間以内に押さなければならない。 悪魔は囁いた。 「三つ
68.独自性 Aは、思いきって宗教を立ち上げることにした。 Aは、他の宗教の教えを拒絶し、狭い殻に閉じこもる偏ったものにしたくなかった。 そこで他の宗教を尊重し、素晴らしい教えとして素直に取り入れていくことにした。 その
67.価値2 A男は、世界的に有名な画家だった。 A男の書いた絵は、一枚あたり数億円で取引されていた。 A男は純粋に絵を書くことが好きであり、興味があるのはそれだけだったので、絵の取引額には、殆ど興味がなかった。 そんな
66.前世 A子は、特殊な能力を持っていた。 それは自分自身の前世を覚えている能力だった。 前世が分かるという人は聞いたことがあった。 それでもA子の能力は少し変わっていた。 A子は他の人の前世は分からない。 自分自身の
65.価値 Aは突然の出来事に驚いていた。 これまで平凡に暮らしてきて、特にこれといって取り柄があったわけでもなかった。 それがいきなり「地球で価値がある」とみなされたからだ。 それは数日前の出来事だった。
64.予防措置 A博士は、脳の研究をしていた。 そして最優先とも思える研究がついに実を結んだ。 それは前頭葉の中でも眼窩(がんか)前頭皮質と偏(へん)桃体(とうたい)といった部位の欠陥を特定し、修復できるものだった。 こ