最終更新:2024年11月7日
101-愛3
A子は、人を痛めつけるのが仕事だった。
それも隠れてやるのではなく、大勢の前で、派手に痛めつけるほど報酬が増えた。
それだけでなかった。
A子は、痛めつけられる必要もあった。
そして、それにはテクニックも必要だった。
痛めつける時には、出来るだけド派手に、かつ後遺症などが残らないようにしなければならない。
痛めつけられる時には、出来るだけ全てを受け、同じく後に残らないようにしなければならなかった。
A子は、この仕事が心の底から好きだった。
派手な暴力の応酬をしているように見えて、その中身は愛で溢れていたからだ。
痛めつける方も、痛めつけられる方も、優しさで満ち溢れている。
それは、時に悪ぶったキャラを演じなければならない時でさえも同じだった。
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そんなA子が、悲しくなる瞬間があった。
それは見た目だけで判断する、心無い暴言だった。
それでもA子は「いつか分かってもらえる」と信じながら、大好きなこの仕事を身体が続く限りやろうと決めていた。
その職業の名は「プロレスラー」
補足
人には誰しも様々な2面性がある。
その1つに、騙されたくないから疑いを持ち裏を見るという側面。
それと同時に、深く考えずに表の印象だけで判断しようとする側面も持ち合わせている。
本質を見抜く目とは、裏を暴いて正義感を振りかざすということなのだろうか?
それともしっかりと目に映らないバックグラウンドまで見て見極めるということなのだろうか?
もしかすると、これは同じことなのかもしれない。
本質を見ようとする心が偏見に満ちていなければの話だが..
次は..102.千年紀
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