28.痛み


このブログを読み進めることで、当サイトのプライバシーポリシーに同意したことになります。詳しくはこちらをご覧ください。

この記事「28.痛み」の内容を補完する画像です。

28.痛み

Aの虫歯は悪化していた。

その痛みは日に日に増していった。
それでもAは歯医者に行かなかった。

Aは、歯医者が苦手だったのだ。

「あんな訳のわからない機械で、痛い所を直にこねくり回されるなんて、たまったもんじゃない」
Aは歯医者に対し、苦手を通り超し、恐怖と感じていた。

Aは、痛み止めの薬で何とか耐えていた。
「痛み止めの効果が切れてくると、痛み止めを飲む」その繰り返しをしていた。
そのうちに、段々と痛み止めが効いている時間が短くなり、遂に強い痛み止めでも効かなくなってきたのだった。

Aは、気が狂いそうになっていた。

仕方がないと観念して歯医者へ行くことになった。
Aは歯医者の口の中を直に触られる治療を、内蔵の手術と同じだと感じていた。

治療してもらうため、椅子に座った。
「椅子を倒しますよ」
この言葉は、Aにとっては死刑執行台に乗るような恐怖を感じていた。

Aは、歯医者が苦手な人のために、笑気麻酔という処置を施してもらった。
するとAは意識が薄くなり、とても気持ちよくなってきた。
Aは普段の生活でアルコールを摂取しないため、特に効き目があったのかもしれない。
それでも僅かながら意識は残っていた。

Aは先生を神だと仮定し、全てを委ねることにした。
するとAは、治療中にも関わらず言葉に出来ないような不思議な感じを何度も経験した。

「なぜ、あんなに我慢していたんだろう」
自分自身の愚かさにも、素直に目を向けることが出来るようになっていた。
Aは歯医者を好きになった。というよりも、歯医者に行きたくてたまらなくなったほどだ。

--小休止:お知らせとお願い--
当サイトは、専門知識を持つ著者達が、独自の視点で価値ある情報と体験を提供しています。再訪問とブックマークをぜひお願いします。
-------

軽い依存症のような状態になっていたことを、Aは自覚していた。

Aは思った。
「これが怪しげな宗教でなくて、何よりだ」

補足

当人が望んでいる以外は、たとえ瞬間的な痛みであっても安易に考えられない。
なぜなら、殺すことを正当化してしまう可能性があるからだ。

では、苦痛を感じさせなければ、何をしても許されるのだろうか?

苦痛を感じさせないだけでなく、快楽を感じさせることができたらどうだろう?
「この薬を飲めば、副作用や苦痛は一切なく、むしろこれまでに味わったことのない、最高の快楽を味わえます」

このような提案をされた場合は、逆らえない人もいるかもしれない。

更に踏み込んで、本人が望んでいた場合は、どうだろう?
苦しみを味わっている人が「殺してください」と頼み安楽死が出来るなら、それは間違っているのだろうか?

本人がこれから得られる喜びの可能性が少しでもある限り、たとえその可能性を今の本人が信じられないとしても家族が悲しむかもしれない。それを奪う権利は誰にもないのではないだろうか。もちろんこれは、人間以外にも当てはまるのかもしれない。

ここまで極端でなくとも、日常生活の中で与えられる娯楽で痛みや快楽を感じたとしても、本人の自由意志を尊重された結果だということになるのだろう。それが社会に破滅を及ぼす可能性がない限り..


次は..29.道徳と結果

1.解釈


他の興味深い記事もご覧ください。お時間の許す限り、さまざまなテーマをお楽しみいただけます。
カテゴリーメニュー一覧はこちら
※当ブログで取り扱う短編小説の物語はフィクションです。実在の人物、団体、事件などとは一切関係ありません。
トップページはこちら


あなたのサポートがBlogXを支えます

このブログ「Blogx」は、次世代テクノロジーや環境問題を中心に、未来に向けた情報や考察を提供しています。私たちの目的は、世界中の人々に役立つ知識を共有し、より良い未来のために行動するためのきっかけを提供することです。

寄付していただいた資金は、さらなるコンテンツの充実、リサーチ費用、そしてブログの運営費用に充てられます。あなたの支援が、より価値のある記事の提供に繋がります。
詳細はこちら

ぜひ、私たちの活動をサポートしていただけると幸いです!

  • ✔ ブログを応援する
  • ✔ あなたの寄付が、より豊かな未来のためのコンテンツを支えます
  • ✔ 今すぐサポートはこちら → https://paypal.me/blogx2030



読者の皆様へ

この記事をご覧いただき、ありがとうございます!この記事に関する間違いなどのご意見、ご不明点などのご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせフォームは、こちらにございます。

最新記事をお見逃しなく!

ぜひブックマークを

再訪問をお待ちしております

上部へスクロール